佐々木塾

「受験を終えて」

鴨志田中学校 N.I.
神奈川総合(国際文化),鎌倉学園 合格

 「受験はマラソンである。」この言葉は受験期間中あらゆるところで耳にした言葉であるが,今考えると受験を表現するにおいてこれほど適当な言葉はないと考えている。

 本格的に受験勉強が始まったのは夏期講習から。毎日朝から夕方まで一瞬の無駄もなく受験に向けた勉強をした。しかし,夏期講習が終わって初めて受けた模試。僕は実力がついたのを確信していたし,それなりの点数を取れる。そう信じていた。だが,現実はそう甘くなかった。夏期講習前に見据えた第一志望の合格率は65%。内申が低い僕にとっては正直言って絶望的な数字だった。そんな中,塾長先生がかけてくださった言葉は「大丈夫,君なら絶対受かるよ。」受験というあまりにも遠いゴールに向けてただがむしゃらに走り続けていた僕に,塾長先生の言葉は忘れかけていた「自分自身への自信」という受験においてもっとも重要なことを思い出させてくれた。

 それからというもの,宿題を休みの日にやるのではなく塾が終わったその日にやるようにするなど,少しでも本番で点数が取れるように時間の無駄を減らす努力をした。この工夫は決して無駄になることなく,英語の偏差値が70を超えるなど着実に成果を出し始めていた。すると9月ごろからは模試の合格率が常に90%を越え,点数のばらつきもなくなった。

 迎えた冬期講習。受験直前ということもあって一人一人の顔はいつでも真剣で,あんなにも優秀な仲間といい環境で競争したことは僕に対して常に緊張感を忘れさせることなく,負けられないという思いからモチベーションの維持にも大いに役立った。
 そして本番。挑戦校は正直歯が立たないという風に考えていた。しかし,当日大の苦手である数学に食らいついたところ普段の過去問よりはるかに大きな手ごたえを感じた。結果的に補欠という形にはなったが高いレベルの受験生の間で上位に入ることができたということは僕にとって大きな自信になった。

 最後に受けた本命の公立高校。実際,本番の一時間目(英語)から僕はパニックに陥った。常に高得点を維持してきた英語は100点を目指していた。しかし,いくつか際どい選択があり「これでは100点どころか90点以上すら取れない」そんな焦りが僕の中でいっぱいになった。だが,冷静に考えてみると,100点や90点など受験者わずかな人しか取れない点数であって,「自分が苦戦しているのなら周りだってそうだ」と開き直ることができ,その後は落ちついて試験に臨むことができた。家に帰って自己採点してみると,英語は92点,国語も90点を取ることができ気持ちの切り替えの重要性を感じることができた。

 来年受験する受験生だけでなくその後の受験生全てに共通することなのだが,試験中には頭が真っ白になる。これは聞いてみると非現実的な響きがする。しかし,いざ自分が受験本番を迎え「不合格になる」そう感じた瞬間,この非現実的な出来事が自らの身に降りかかる。僕の場合は頭が真っ白とまではいかず激しい苛立ちと,不安を感じただけであったからよかったのだが,もしそのようにパニック状態に陥った時,試験中であろうといったん深呼吸をしたり,楽しかったことやくだらないことを思い出したりして一度試験から逃げるというのも大事な選択肢だと思う。現に僕は開き直り落ち着きを取り戻したのだが,自らの身にこんなことが起こるとは予期していなかった。あらかじめルーティ―ンを作るなど日常の中で自分が落ち着くことができる癖を作っておくことも,こうなった時のための大きな手助けになるだろう。長い長い受験勉強。なかなかゴールは見えないし何のために勉強をしているのか意味を見失うこともあると思う。そんな時は一度勉強のことなんか忘れて好きな音楽を聴いたり,テレビを見たりして少しの息抜きをするべきだと思う。無理に自分を追い込むことは結果的に自分のことを滅ぼしかねないからだ。

 最後に,先生方にはどのように感謝すればいいのかわからないぐらいお世話になりました。先生方がいなかったら僕は第一志望に受かるという目標以前に第一志望を見つけることすらできなかったと思います。たまに勉強に嫌気がさすこともありましたが,ここまで乗り越えることができたのは先生方の励ましがあったからだったと思います。本当にありがとうございました。

 この塾では勉強だけではなく様々な仲間や,素敵な先生方と出会うという,ありきたりな言葉ですがかけがえのない経験を得ることができました。あまりにも充実した三年間でこの塾を離れるのは心細いですが,次のステージに向け一歩一歩力強く歩いていきたいと思います。



ページの上部へ